5月18日森の学習会 秩父:水源の森の現状とトラスト報告
森の学習会 秩父:水源の森の現状とトラスト報告と題して、埼玉県生態系保護協会堂本 泰章事務局長からお話を伺いました。
日本の国土の6割は森林です。しかし、自然林はわずか18%しかないということも驚きでした。森林の82%はスギやヒノキの人工林なのです!その人工林も手つかずに放置され、安価な外国産材に押され、利活用されることなく山は荒れ、生き物の住処も奪われているということが、日本の森林の現状だそうです。
埼玉の秩父もしかり。 森と水の委員会も人工林ばかりの森林ではなく、生き物の住処となる広葉樹の森も大切だと出前講座でお伝えしてきましたが、それに加えて鹿の食害の問題も伝えていかなくてはならないようです。鹿は下草や広葉樹の芽生え、樹皮などを食べてしまいます。下草が生えないと災害時の土砂崩れが発生する原因になります。増えすぎた鹿による森林の荒廃。放置された人工林。広葉樹林の減少・・・。天然記念物のカモシカも秩父には生息していますが、餌がなくて餓死した個体も見つかっているというお話を伺いました。生き物と自然のバランスが崩れてしまっているそうです。猟をする人が最盛期の1/5しかいなくなっていて、鹿の駆除もすすまない・・
私たちの暮らしを支える「水」を育む森がそんなことになっていたのですね!
参加者からも「鹿の害がそんなに深刻とは思っていなかった」「緑が多いと自然が多いと思っていたが、考え方を変えなくてはと思った」「動植物があっての森を強く意識した」という感想がありました。
水源を守るために埼玉県生態系保護協会が取り組んでいるのが「水のトラストしよっ基金」です。生活クラブは2014年度も「市民事業寄付制度」という新たな試みで協力をして、組合員からたくさんの寄付が集まりました。
国や県などの行政が真剣に日本の国土に目を向けているとは思えません。一人一人が自分の飲んでいる水がどこから来ているのか。水を育んでいるのは森林なのだということに目を向け、自分ができることから初めていかなくては という思いを新たにした学習会でした。
(理事 菊一 敦子)2015.5.18