エネルギースタディーツアーPart1(デンマークロラン島)

デンマークロラン島ツアー

2014 年5月、再生可能エネルギーの先進国であるデンマーク・ロラン島へ40周年企画のスタディーツアーとして組合員16名とともに訪問致しました。なんと最近 では、世界一幸福な国としても注目を浴びています。その割には、消費税25%と日本の約 3倍、生ビール(500ml)も50クローネが普通でした。しかし、大学まで授業料は無料であったり、高齢化による一人暮らしが出来ず介護が必要な場合は 国が面倒を最後まで看るなど、様々な仕組みが用意されています。この様な環境下で生活をしているために、政治に関しては日ごろから関心が高く、選挙の投票 率はなんと80%以上とのことです。

 


ロラン島とは

人 口は約550万人(北海道と同じ位)国土の面積は4.3万㎢(九州とほぼ同じ)、ロラン島に限定すると人口は約6万7,000人、面積は1,243㎢ で、海に囲まれたデンマークでは比較的大きな島です(日本と同じような環境のようだが、山はなく平地)。平坦なため風が強く、陸上や洋上合わせ約500基 もの風車が建っており、エネルギーの大半を賄っています。

 

ロラン島の取組み

ロラン島の特徴として、地域全体が大規模な研究所(大学などはありません)となっており、そこを基点にして様々なプロジェクトが進行しています。プ ロジェクトはロラン・ファルスタCTF(ロラン・コミュニティ・テスト・ファシリティーズ)といい、実証実験による試みを大学や企業、他の研究所などへ提 供することで、その成果をフィードバックしてもらう仕組みです。かつてロラン島は原発予定地でもありましたが、現在は様々な環境への取り組みで再生可能エ ネルギーの先進国として注目を浴びています。今回訪問した施設や農場を紹介します。


コージェネ施設:5月13日

1990 年、熱エネルギーの供給と発電を同時に行うことのできる 3基目の焼却炉を導入し、コージェネレーション(熱電併給)を開始しました。この焼却炉はごみを燃やして水蒸気を発生させ、タービンを動かして発電させる 仕組みです。この焼却炉からの熱エネルギーはファルスタ島グルボースン市の家庭に供給し、電気は売電しています。回収した廃棄物からサイクルされたものの 残り、わら、木質チップ などを燃料として生産される熱供給量は385MWh、発電量は11万kwhで、このシステムにより約5万トンの石油を節約しています。燃やした後のスラグ は、有害物を除去して建設会社に建築用材として提供しています。


ビジュアル気候センター:5月13日

こ こでは、世界中の気候変動や大気汚染などの事象を大きな地球儀に映し出しながら検証を行うことが出来ます。3.11後の日本から放出される放射能の拡散状 況も見ることができました。人類はいろんなところで、いろんな形でエネルギーを使っていて、世界的に見るとその多くは、化石燃料からできています。人口増 加により、その使用料が増えるとともに、二酸化炭素の濃度も増え、気温も上昇しています。1870年は、二酸化炭素の濃度が288ppmだったのが、 2013年には400ppmになりました。これは人類史上初めてのことで、このまま何もしないでいると、2050年には532ppmになると予想されま す。気温も上昇し、4℃上がると約4割の動植物が絶滅します。2100年には717ppmになり、干ばつ、津波、海水温度の上昇により、グリーンランドの 氷が解けてしまい、2400年には消滅し、シロクマも生きていけなくなるとの説明でした。食料も足りなくなり、人々はこの地球に住めなくなるのではないか とのことです。


森の幼稚園:5月14日

Skov= 森のbornehaven=幼稚園。特に入園式は無く、3歳の誕生日前後に入園を決めます。デンマークでは共働き家庭が一般的であるため、朝は6:30~ 預けることができます。先生たちは市の職員です。ここでは一週間ごとにテーマがあり、子どもはそれに沿って遊びます。今週のテーマは「動物園」。テーマに 沿って遊ぶ子もいれば、我が道を行く子もいます。自然の中で子どもたちを自由に遊ばせながら、生きるための知恵や力を養います。特に決まったカリキュラム などがあるわけではなく、1年を通じて自然(森)の中で生活をします。

森 の幼稚園ではケンカもなし、大声だすこともなし、泣くもなし。取り合いもなし。粘土、アスレチック、迷路、トンカチ(本物)、ブランコ、丸太橋で自分の好 きな遊び方で好きなように遊んでいました。周りに先生はいますが、本当にその姿を見守っている様子が見てとれ、子どもの成長に欠かせないものが見えた気が しました。ここの幼稚園は設立21年ですが、大怪我をした子どもはいないし、救急車が来たことは一度も無いそうです。

 


ナクスコウ産業環境パーク(リサイクルセンター):5月14日

現 ロラン市にあるナクスコウ産業環境パーク・リサイクルセンターを視てきました。今までのリサイクルセンターはコンテナ上部の開いた部分に廃棄物を投げ入れ る方式が多かったのですが、ここは1メートルほどの高さの円形に造られており、その下にコンテナが設置され、廃棄物を「投げ落とす」方式。大型車、一般車 の通路が区別され、一方通行になっており、案内板の順に、種類ごとに分別廃棄しながらぐるりと円を描くように進んでいきます。

コンテナに投げ落として分別廃棄する様子を見ることができました。ロラン島ではフォルクスワーゲン、ベンツ、プジョー、ミニなどの後ろに鈎を取り付け、廃棄物を載せるための荷車を接続。市民自ら廃棄物をリサイクルセンターへ運びます。


H2インターアクション:5月14日

ここでは水素の実証実験を行っています。各家庭に水素の貯蔵タンクをおき、風車の余剰電力を活用して蓄えるシステムです。学習用の機材も豊富に揃っていて、バーチャル体験ができます。

 

 

 


グリーンセンター:5月15日

農 業、農産業、環境テクノロジー研究所。近い将来のグリーンなエネルギー源、食料生産の原料として期待されている「藻」を、各大学やアメリカと共同研究して います。お荷物自治体と呼ばれたロラン島で、環境エネルギー事業の推進を提案し、指揮をとってきた市議会議員レオ・クリステンセンさんに~「スタンスから 行動へ」唯一の可能性 それは持続可能性~について話していただきました。大都市は小児病棟の保育器のようなもの・・・地方が供給するもの(食糧、労働、 エネルギー、飲料水)がなければ生活できません。ロラン島では農産物の年間売上500億円、エネルギー年間売上高は300億円にもなります。農業に大き なポテンシャル持っていると同時に、エネルギーの生産者でもあります。都市と地域の連携がますます必要とされています。


クヌセンルン農園:5月15日

昼 食はクヌセンルン農園で。羊と山羊が各500頭、豚もデンマーク固有の種を飼育しており、コンテストで金賞を受賞するほどの高品質なチーズやヨーグルト (実際とてもおいしかった!)、食肉やソーセージなどの加工品を生産しています。これら全てがオーガニック。日本では考えられない規模です。しかもすべて の仕事は、たった20人のスタッフで行われているというから驚くばかりでした。徹底したコンピューター制御と機械化によって運営されています。耕作機械 は、数センチ単位での操作が可能なようにプログラムされ、耕地に不必要な負担をかけないようにしてあります。酪農部門でも、エサやりや搾乳などにもコン ピューターが導入され、あらゆる点で効率化が図られています。写真はそのメニュー。メインは羊。チーズもバターも羊です。


コペンハーゲンエネルギー供給会社の大型風車:5月15日

首都コペンハーゲンの電力会社が建設した大型風車(3MW)5基。首都のエネルギーを地方で賄うという構図は、互いの利益が衝突してしまうこともあり、地域間連携に課題が残るとの事です。

 

 

 


オンセヴィー気候パーク:5月15日

1991 年に完成した世界初の洋上風力発電所です。ここは、1970年代には原発予定地であった場所。市民の反対運動で建設が回避され、現在は自然エネルギーの象 徴の場所になっています。元々オンセヴィーの海は藻が多く、海水浴客にも評判が悪く不評でした。しかし、この藻を使って培養して燃料や資源になることが出 来れば、一石何鳥にもなると考え、堤防の手前に4つの池をつくり、ここに雨水の浄化を兼ねた藻の培養実験を行っています。

 


おわりに

環境テクノロジーの研究所であるグリーンセンターにて、ロラン市の市議会議員でありミスターエネルギーと称されるレオ・クリステンさんに、福島第一原発事故の原発対応について尋ねると

「原 発を国の政策で進めてきたのに、事故があったから即時廃止と言われても、誰が保証してくれるのか、誰が資本を回収するのか、誰が負担するのか決まるまでは どうにもならない。これまで原子力発電で電力を供給していた人たちが、原発が止まってもグリーンな電力を作っていける上手い方向転換をしていける道筋を示 すことが大事である。決して対立関係ではなく、時間をかけて黒を徐々にグレーにそして白へと導くことが必要である。そのためにも国(政府)が国民に対し、 エネルギー転換が必要だから増税や電気料金のアップなどを説明する責任がある。」

民主主義国家であるがゆえの言葉であり、3.11後に宮城県東松島市へ自ら乗り込み実践と言葉を発し続けているから、その重みも感じました。まさに『スタンスから行動へ』です!


生活クラブも自然エネルギーの自給圏づくりをすすめています!

生活クラブ風車「夢風」の活動


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